【社長日記】鑑AKIRAⓇ100台目納入

2016年から販売している鑑AKIRAⓇですが、とうとう100台出荷しました。購入してくださった皆様、応援してくださった皆様、本当にありがとうございました。

100台目は福岡リハビリテーション専門学校さまで、一昨日、納品と操作説明に伺ってきました。博多駅の近くの便利の良い場所にある活気あふれる学校です。

福岡リハビリテーション専門学校


100台への到達まで、8年もかかりましたが、学びの多い8年だったと思います。

年度別納入台数

グラフを見てみますと、2019年までは順調に伸びていましたが、コロナ禍で、病院に伺ってデモをすることが困難になってしまい、右肩上がりとは行きませんでした。私たちも困難でしたけれど、それ以上にリハ室の理学療法士の方々の苦労が大きく、このような新しいプロダクトを使って新しい取り組みを行うような余裕がない状況になっていました。コロナそのもののインパクトも大きかったですが、リハビリが思うようにできないことによる、患者さんのQOL回復への悪影響も大きかったと思います。

鑑AKIRAというプロダクトにとっては、臨床での利用のフィードバックをいただけなかったことが、停滞の一番大きな理由でした。

当社のような受託開発メインの会社では、このようなプロダクトを開発し販売するノウハウがなく、暗中模索で進めてきました。そのような中で、広島県の医工連携支援での勉強会などで先生方のお話を聞いたりして、医療機器であればバイオデザインとか、また一般的な新規プロダクト開発についてはリーンスタートアップといった方法論があることを学びました。鑑AKIRAを作る前に学んでいればどれほど良かったかと思いましたが、失敗した点の理由を知り、それについてリカバリしながら生きた教材として活用できたと思えば、悪い事ばかりではないと思います。


100台目は専門学校に納入したのですが、現在は医療技術者養成機関への販売に力を入れています。それは上記の方法論から、現場の事情をよく観察し、フィードバックをいただいたうえで、ターゲットを少しだけピボットする必要を感じたからです。

2021年に私自身がいわゆるぎっくり腰になってしまい、近所の整形外科クリニックのリハ室にお世話になっていた時期があります。それは患者の立場でリハ室をじっくり観察する機会になりました。保険診療の中ではリハビリは1コマ20分と、とても短いのです。そして理学療法士には1時間に3コマ予約が入っていることも多く、なかなか次の予約が取れません。経営的にはなるべくたくさんのコマ数運用できる方がよいので、うまくいっているクリニックでは、理学療法士はとても忙しいです。1コマ20分の枠のなかでは鑑AKIRAを使う余裕はほとんどありません。ですが動作を見て患者の状態を知る必要はあり、患者に歩いてもらったり特定の動作をしてもらったりし、それを瞬時に目視で分析しています。それは簡単ではなく習熟が求められるので、理学療法士間のスキルの差もあります。

そこで鑑AKIRAを使った学習はとても有効だと感じました。患者に何度も同じ動作をしてもらうことはできませんが、鑑AKIRAで記録していれば何度も再生し、様々な角度から動作を観察することができます。私のようなシステムエンジニアしかしてこなかったものでも、研究のお手伝いでデータを何度も見ていると、例えば股関節や膝関節に痛みを抱えている人の歩き方の特長が分かってくるようになります。改善した動作との比較も容易です。このような装置は、初学者の学習にとくに役立てていただけると思いました。そのようなニーズを踏まえ、昨年度は計測したデータを学生が自分のPCで見ることができる鑑VIEWERをリリースするなど、医療技術者養成校での採用を意識した活動をしました。

また2022年に理学療法士・作業療法士養成校向けのガイドラインが少し変更されて、備品の一覧として三次元動作解析装置が含まれることになりました。そのため新規もしくは買換えの需要があるという事情があります。鑑AKIRAは低価格かつ学生にも使えるほど操作が簡単で、ビジュアルが分かりやすく教育用途としては大変使いやすしという評価をいただいています。

そして、この学校をターゲットにした活動は、このような三次元動作解析に親しんだことのある医療従事者を増やし、忙しい臨床においてもこのような装置を活用してくれる人材のすそ野が広がっていくのではないかという目論見もあります。

もともと研究において、データを簡単に取れるので母数を増やしやすいというニーズがあり大学などで購入していただくことは多かったのですが、現在は医療技術者養成学校への普及に力を入れています。


話は変わり、次のグラフですが、広島大学の研究で採用していただいたこともあり、中国地方が33台と多いですが、医療機関の数の多い関東地方が最も多い35台でした。

地域別納入台数

今後の展開ですが、まずは100台の鑑AKIRAがどのように利用するのかをじっくり見てみたいと思っています。そこからのフィードバックから学び、現場のニーズを把握できれば、そのニーズに深く刺さるような次世代バージョンを開発したいと思っています。それは必ずしも鑑AKIRAのような動作解析装置であるとは限らないと思っています。

次世代を考えた試作品を作りまして、実はひっそりApple Storeでリリースしていますので、次回はそのアプリについてご紹介したいと思います。