昨日、Apple Watchが「家庭用心電計プログラム」「家庭用心拍数モニタプログラム」としてクラスⅡの医療機器認証を取得したというニュースが出ていました。すごく画期的なことだと思いました。
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2009/07/news148.html
最初、少し誤解してしまったのですが、Apple Watchを付けていれば24時間心電図が取れるというワケではないようですね。心電図については、アプリを起動してリューズの部分に指を当てて計測するようです。
https://support.apple.com/en-us/HT208955
心拍数モニターの方は常時計測していて、不整脈などがあったときに通知する機能があるようです。
https://support.apple.com/ja-jp/HT204666
ですが、医療機器の認証を取っていないので、日本ではこれらの機能は使えないようにロックされていました。認証が取れたことによって、これらの機能が使えるようになるのだと思います。心拍数の異常があったら通知が来るので、心電図アプリを起動して記録し、グラフをPDF化して医師に見せるといった使い方ができそうですね。
心電図といえば、健康診断のときに取ってもらいますが、ベッドで横になってほんの短い時間取るだけですので、発見できない異常もあるわけですが、
いつでも使える心電計があれば、起床後すぐとか、異常を感じた時とかに記録できれば、発見の確率が上がります。本格的に心電図を調べるには、ホルター心電計という携帯型のものがあります。胸にいくつもの電極をつけて調べますので、それなりに大変です(やったことはありませんが)。Apple Watchはそれに代わるようなものにはなり得ないと思いますが、使い方によってはそれらの検査を補完できるかもしれません。
医療機器クラスⅡという言葉が出てきていますが、クラスⅡは管理医療機器といいまして「副作用又は機能の障害が生じた場合において人の生命及び健康に影響を与えるおそれがあることからその適切な管理が必要なもの」です。厚生労働省の「承認」が必要となります。一方、クラスⅠの一般医療機器というものもありまして、それは「人の生命及び健康に影響を与えるおそれがほとんどないもの」で厚生労働省に「届出」をすればよいです。
そのためクラスⅡで承認されるまでは時間とコストがかかります。そして、医療機器の名称からして、「プログラム」つまりソフトウェア医療機器のようです。その両方ともすごくハードルが高いことなのです。
当社の鑑(AKIRA)も診断ができる機器を目指していましたが、クラスⅡ医療機器の大変さを考えて、まずは汎用的なクラスⅠの計測機器にすることにしました。またソフトウェアではなく機器として製品化しました。結果としては用途が広がって良かったと思っています。
心拍数のような大量のデータを解析するといったことは、ソフトウェアの分野です。医療機器の世界においても、これからはソフトウェアエンジニアの重要性が増してくるのではないかと思っています。
Apple Watchが心拍数を計測する仕組みは先ほどのページ(https://support.apple.com/ja-jp/HT204666)に記載されていましたが、赤外線で計測しているようです。ですからKinectでも心拍数は計測でるのですね。人体のことも勉強していくと、ソフトウェアを活かしていく場面がいろいろありそうです。